転送を遅延した病院による、早期転送時に転送先で行われる検査や治療が不明だとする主張を排斥し、主張立証責任を転換した事例

相当程度の可能性の存否が争点となった事例において、転送遅延の過失が認定された医療機関が、転送された場合の検査や治療内容は不明であると主張したことに対し、原告に立証責任を課すのは不当と判示した裁判例です。

東京地方裁判所平成24年(ワ)第27993号

平成27年2月18日判決

 

・・・これに対して,被告は,転送先でいつの時期にいかなる検査や治療が行われるかが不明であるから,相当程度の可能性があることについて立証ができていないと 主張する。

 

しかしながら,前記5で述べたところからすれば,6月22日に転送されれば,これに近い段階で,超音波検査等の網膜剥離及び網膜裂孔の有無を診断するための検査が実施され,これにより網膜剥離又は網膜裂孔の有無が確認されれば硝子体手術が実施されたと考えられる(実際に●●大学病院において7月21日に超音波検査が実施されている。)。

 

そして,実際に検査がなされなかった以上,検査が実施されていた場合の病状は不明であるから,前記検査が行われていれば,いつの段階でどのような硝子体手術が行われていたかについて原告に立証責任を課すのは不当であり,むしろ,被告において,6月22日に適切な医療機関に転送していても治療が奏功しなかったことを窺わせる特段の事情を主張立証すべきであり,被告の前記主張には理由がない。・・・

弁護士 堀 康司
Yasuji Hori

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